営業の難しさ                      運営委員 鈴木久夫 

 コンサルタントを始めてから、
15年以上経ちましたが、関係してきた社長さん方は、皆、何時も頭の中の90%以上が受注の確保でした。新技術を開発して、こんなに良いものを使わないのは馬鹿だと思っても、お金をもらうのは、本当に大変なことです。お金をもらうためのコメントをいくつか記して見ましょう。
1.受注企業と見込み企業
 (1) 受注企業:特定少数の顧客が相手(主として生産財など)
   この場合、顧客の経歴・趣味・家族(その他誰がキーマンか)などをとことん調
   べてアプローチしないと駄目
 (2) 見込み企業:不特定多数の顧客が相手(家電など消費財が主)
   世の中には、この2種類しかないので、自社がどれに属しているか知り、この2
   種類の得失を良く把握することが肝要、
   参考書:牟田学著 “社長業” 発行、産能大学出版部
2.客は、非常に保守的
  非常に良い技術で、1年で元を取るといっても、90%以上は、現状で満足しており、必
  要ないとつれないのが普通。予算をとってまで試用してみようと思うのは、余程の変
  わり者と思わないといけない。先ずは、新しもの好きを探さないと駄目のようです。
3.新規顧客の獲得・新営業網の構築には、発明と同様な創造性が必要
  良い営業マンは、商品の善悪に関係せず、立派な営業成績を上げるもので、“営業の発
  明家”がいないと、その事業は、まず見込み無し。
  中小企業には、営業の発明家など居るわけないので、最初は、社長・開発責任者が、
  新規顧客の開拓をしなければ駄目で、ある程度実績(ものによるが、1千万円くらいか)
  が出来たら、事務系の方でもOKとなる。
4.会社の規模と商品の価格
  会社の規模と商品の価格には、適正な比率があり、大き過ぎても、小さ過ぎても全体
  としての効率が悪くなる。小さい段階で、大きな物を狙うと、期間的変動が大きく、
  場合によっては、運転資金のショートを来たしてしまうので、少し規模の大きな会社
  の軒を借りた方が安全。
5.営業網は会社の財産
  営業網の構築には、膨大な資金・人材・時間を要するものであり、立派な営業網は、
  それ自身、会社の貴重な財産である。中小企業の場合、最初から営業網が有る訳では
  なく、場合によっては、他社の営業網の利用、すなわち、アウトソーシングになるが、
  自前でする場合も、広告・展示会の利用とその後のダイレクトメール・通信販売・イ
  ンターネットの利用などあるが、これとても経費がかかるものであり、技術者の片手
  間で出来るものでは無い。
6.福岡・ベンチャー・マーケットFVMの活用
  FVMは当初、ベンチャーの資金調達のために作られたが、最近は、博多の商社の支
  店の方々が多く見えられ、ベンチャーの新商品の販売に一役かっている例が多く見ら
  れるようになっている。

008.営業の難しさ